尾高邦雄選集 第一巻
 職業社会学
 ※品切重版未定
尾高邦雄 著
A5判 316頁
本体価格 3,496円
税込価格 3,845円
1995年4月1日刊行
ISBN978-4-944088-01-0 C1336

【 解説 】
社会学者尾高邦雄が生前の最後の仕事として自らまとめた選集の第一巻。マックス・ヴェーバーを研究し「職業としての学問」(岩波文庫)を翻訳した尾高は、その影響を受けて職業を研究領域とする社会学の先駆者となった。第1章では職業研究の足跡が述べられている。第2章から第4章は処女作「職業社会学」(岩波書店)を改訂した「新稿職業社会学」(福村書店 1953年)所収の論考。第5章から第7章は、調査研究の報告。第5章は1944年に海南海軍特務部から刊行された「海南島黎族の経済組織」の第3章と第4章を収録したもので、文献としての価値は高い。第8章は東京大学退官のおりの最終講義を加筆修正したもの。

【 目次 】
第1章 『職業社会学』のころ ――わたしの研究歴
 1 マルクスを耽読する
 2 退屈な研究室生活
 3 テーマとしての職業との出会い
 4 海南島における原住民調査
 5 人間関係論との出会いと訣別
 6 本当の経営参加とは
 7 強く欲すれば得られる

第2章 職業社会学序説 1 ――職業とは何か
 1 職業と社会生活
 2 適材適職の問題
 3 職業指導と職業紹介
 4 職業の科学的研究
 5 職業に関する三つの見解
 6 生業としての職業
 7 生業以外のものとしての職業
 8 職業と労働
 9 要約

第3章 職業社会学序説 2 ――職業の三要素
 1 職業における三つの分
 2 職業の語義
 3 職業の概念
 4 職業の理想形態と現実形態
 5 職業と職業観

第4章 職業社会学序説 3 ――職業の社会学的研究
 1 経営的見地の批評
 2 技術的見地の批評
 3 倫理的見地の批評
 4 職業の社会学的研究
 5 人間共同生活の要因としての職業
 6 職業社会学の立場
 7 職業社会学の諸問題

第5章 海南島黎族の生業と労働
 1 序言
 2 重合盆地
 3 生業
 4 労働

第6章 海口市少史街の手工業者
 1 海口市少史街
 2 生産方法と労働条件
 3 職業に関する概念
 4 仕事場の人間関係
 5 徒弟制度
 6 手工業者の組合

第7章 出雲のたたら吹き
 1 たたら吹き
 2 鉄山族
 3 たたら親方と山内集団
 4 山内の人的構成
 5 山内法と山内経済
 6 山内の信仰的統一
 7 山内と地下

第8章 高度産業化社会における職業と労働
 1 最初の講義のころ
 2 変る職業構造と職業観
 3 職業の三要素
 4 サラリーマン社会
 5 組織からの逃走
 6 仕事本位の職業選択
 7 高度産業化社会の明暗
 8 仕事献身による生きがい
 9 単調労働における人間の復権

【 著者紹介 】
尾高 邦雄 (おだかくにお)
1908年 東京・下谷区根岸生まれ
1932年 東京帝国大学文学部社会学科卒業、文学部副手となる
以来、助手、講師、助教授、教授として、文学部社会学科で後進の指導に当たる
1969年 東京大学を停年退職、名誉教授となる 上智大学経済学部教授となる
1979年 上智大学を退職
1981年 主著「産業社会学講義」(岩波書店)を刊行
1993年 脳梗塞による呼吸不全のため死去、享年84歳

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